「起業論1」の前半「自分と人を幸せにするコツをつかむワーク」シリーズ四回を終えて、後半「自分の強みから事業アイデアを発想する」シリーズに入りました。 自らの起業体験、それにさまざまな講義経験で得た知見をもとに、イノベーションを創発する「SCVフレームワーク」として集約しました。 ■ SCVフレームワークの基本的な考え方 1. Strength-Step. アイデアを中核となる「自分の強み」を発想する ・組織ないし個人の強み(Strength) を「事業アイデア」の中核とする 2. Cost-Step. 「自分の強み」に「コスト革新のトレンド」を組み合わせる ・強みに関する経験に基づき、価格を下げると需要が急増する「商品やサービス」を考える ・どのようにして価格を下げるのかを、最新の「コスト革新のトレンド」をもとに考える トレンドは「技術」「ビジネスモデル」「視点シフト」の3点から構成される 3. Value-Step. 「自分の強み」に「価値革新のトレンド」を組み合わせる ・強みに関する経験に基づき、価値を高めると需要が急増する「商品やサービス」を考える ・どのようにして価値を高めるかを、最新の「価値革新のトレンド」をもとに考える トレンドは「技術」「ビジネスモデル」「視点シフト」の3点から構成される このトレンドは「コスト革新」と「価値革新」において共通のフレームです。今回は「コストの革新」を考える講義なので、コストと強い相関があるものに赤点線枠をつけています。 それぞれ、事例としては、業界を破壊するスタートアップ・トップ50である「2018 Disruptor50」からセレクトしています。詳しくはこちらをどうぞ。 ・"2018 Disruptor50" 資料の総まとめ ・ フォロー戦略で急成長する破壊者 ・ 際立った顧客サービスを持つ破壊者 ・ 常識を覆す低価格を実現した破壊者 ・ P2Pプラットフォームを持つ破壊者 ・ 独自のテクノロジーを持つ破壊者 ・ 業界を破壊する新興企業2018 トップ50 また、組み合わせを想起しやすいよう、大谷翔平が使ったことで有名になった「マンダラート」をワークシートとして使用することにしました。 8回目、9回目の講義は「コスト革新に基づく事業アイデア」を、 10回目、11回目の講義は「価値革新に基づく事業アイデア」を、 それぞれ考えてゆきます。 新しく考えた イノベーション創発フレームワーク「SCVモデル」で、Z世代からどんな事業アイデアが創出されるのか、とても楽しみです。では、また来週! なお、この講義スライドは こちら からダウンロードできます。 また、2019起業論1の講義ブログはこちらです。 5. 受け入れる。安心できる場をつくる 4. 完璧主義を手放す。今に集中する 3. シンプルにする。本当の目標を知る 2. 感謝する。幸せにする 1. オリエンテーション
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起業論1の第五回目、幸せを体験するシリーズの最終回。 今回は「受け入れる」と「安心できる場をつくる」ことをとりあげてみました。 幸せの根幹とも言える自己の受容「セルフ・コンパッション」の考え方は、直近のハーバード・ビジネス・レビューのタイトルにもなるほど、ビジネスでも注目されはじめています。 後半は安心できる場は、もう何度もとりあげている「心理的安全性」、グーグルが「チーム生産性向上のためのキーファクター」として、やはりハーバード・ビジネス・レビューで2016年に発表して以来、非常に注目されている要素です。 今回は、このふたつをもとに、ビジネスアイデアを考えてみました。 いいアイデア、思いついたかな? なお、この講義スライドは こちら からダウンロードできます。 また、2019起業論1の講義ブログはこちらです。 4. 完璧主義を手放す。今に集中する 3. シンプルにする。本当の目標を知る 2. 感謝する。幸せにする 1. オリエンテーション 起業論1の第四回目。 今回は「完璧主義を手放す」と「今に集中する」ことをとりあげてみました。 僕は小学生のころから「達成したい」と強く思うことに対して完璧主義になる傾向があり、なんども計画を立て直したりしていました。 それも個人で完結しているうちはいいのですが、組織のリーダーになると話がかわってきます。メンバーに対しても、自分と同じ考え方を強要しがちで、それが組織内のストレスとなり、自分も相手も辛くなってしまう。 幸い、その後もさまざまな困難を経験したことで、今では「現実をそのまま受け入れて、今という瞬間に集中する姿勢」を大切にしています。ちょこまか反省すること多しですが。 この「今という瞬間に集中するあり方」は、グーグルが採用したことで一躍有名になった「マインドフルネス」と同じ考え方ですね。 今回は、自らの経験から「最善主義」や「今に集中する」ことの大切さを体感してもらい、ビジネスに応用できないかを考えてみました。 いいアイデア、思いついたかな? ちなみに、dotグラレコ部でリーダー格のニモ(経営学科3年生、根本清佳)の美しいコメントシートを、本人の了承を得て、ブログに入れさせてもらうことにしました。アイデアもすごい😂 なお、この講義スライドは こちら からダウンロードできます。 また、2019起業論1の講義ブログはこちらです。 3. シンプルにする。本当の目標を知る 2. 感謝する。幸せにする 1. オリエンテーション 4回連続で「自分と人を幸せにするコツ」をつかむ講義。
その第二回目は「シンプルにする。本当の目的を知る」の巻。 その人の時間の使い方は、人生そのもの。 目先にある緊急なものに目がとらわれがち日々の中で、 本当に大切なものは何かを考える講義でした。 本当に大切なものを知るプロセスにおいては、 ポジティブ心理学の父、セリグマン博士が開発した 強み発見ツール「VIA-IS」をベースにしました。 120問に答えることで自分の強みを発見できるツールです。 強み診断ツール「VIA-IS」 http://www.positivepsych.jp/via.html 講義の中では、この強みに対して どのような最適課題が考えられるかを考えました。 なお、この講義スライドは こちら からダウンロードできます。 また、2019起業論1の講義ブログはこちらです。 2. 感謝する。幸せにする 1. オリエンテーション 4回連続で「自分と人を幸せにするコツ」をつかむ講義。 その第一回目は「感謝する。親切にする」の巻。 一人ひとりの個人的な感謝体験、親切体験をもとに、 新しい着眼点を発見し「人を幸せにする事業のアイデア」を考えてゆきます。 今までの起業論1とはまったく違うアプローチで、 うまく講義が流れるか不安もあったんだけど、 履修してくれた学生たちはすごく積極的に考えて、 アイデアも出してくれました。 講義も活気があってよかった。よかった。 ここからみんなの幸せなイノベーションが広がっていくといいな。 では、また来週ね。 なお、この講義スライドは こちら からダウンロードできます。 また、2019起業論1の講義ブログはこちらです。 1. オリエンテーション 2019年度、ワクワクする起業アイデアを考える講義「起業論1」がはじまります。 今年は「人を幸せにするイノベーション」を前面に出すことにしました。 ひとことでいうと 新しくなければイノベーションではない。 人を幸せにしなければイノベーションを名乗る資格がない。 って感じかな。 そのために「起業論1」の前半では「自分と人を幸せにするコツをつかむワーク」をして、それから「Z世代の日常からアイデアを発想するワーク」にうつるというツーステップを踏むことにしました。 それに 学びがなければ授業じゃない。 面白くなければ授業を名乗る資格がない。 の精神で、 学生はもちろんのこと、僕自身も楽しみながら進めていければうれしいなと思ってます。 今回もLINEグループでつながる講義です。なにかわからないこととか疑問とかあったら、何でも気軽に問い合わせてきてね。 来週から、楽しく熱中できる講義にしていこうね! ではでは。 なお、講義資料のダウンロードは こちら からどうぞ。 六回にわたって掲載してきた「CNBC 2018ディラプター50」の資料を総まとめしてみました。
今回の資料は、2019年度の新しい「起業論」のために作成したものです。具体的には、リーンスタートアップやデザイン思考などを実体験する前提として、今世界で起きているイノベーションを俯瞰する学びを学生たちに提供するためです。 僕自身も、最新のスタートアップ事情を調査することで多くの発見がありました。以前は "in the looop" というブログで、ソーシャルメディアやスタートアップなどの最新事情を紹介していましたが、今後はこのブログ "join the dots" にて調査結果をお披露目していきたいと思ってます。 なお、今回の調査の総まとめを ダウンロードベージ に置きました。よろしければ活用ください。 イノベーションに関する関連記事は こちら 08. "2018 Disruptor50" 資料の総まとめ (2018) 07. フォロー戦略で急成長する破壊者 (2018) 06. 際立った顧客サービスを持つ破壊者 (2018) 05. 常識を覆す低価格を実現した破壊者 (2018) 04. P2Pプラットフォームを持つ破壊者 (2018) 03. 独自のテクノロジーを持つ破壊者 (2018) 02. 業界を破壊する新興企業トップ50 (2018) 01. イノベーションの教科書、iWokrout 「2018 CNBC Disruptor50」は、ニュース専門局CNBCが毎年発表している世界のディスラプター、トップ50リストである。ディスラプターとは「業界の破壊者」、業界秩序や商習慣にとらわれずに、斬新なビジネスモデルやテクノロジーを市場に持ち込み、驚くべきスピードで顧客を獲得している企業を指す。(詳しくは こちらの記事 をどうぞ) このブログでは、独自の基準で、この50社の「5つのタイプ」への分類を試みた。
今回の記事では「先行者ととも業界を破壊するフォロアー型」のディスラプター10社について、主要なスペックを記するとともに、イノベーションの基本となる「顧客」「課題」「事業の着眼点」についてシンプルな言葉で整理してみたい。
この10社は、先行企業と異なるエリアへの展開、先行研究による差別化戦略などより、先行とともに業界を破壊する企業である。その昔、ソニーと松下電器(現パナソニック)の関係は、ソニーが業界のパイオニアとして先行してブランドを高める一方で、松下電器はその技術をフォローすることで利益をあげていた。松下は「マネシタ電器」と陰口をたたかれながらも業界トップを維持していたのだ。 参考まで、古典的戦略論「ランチェスターの戦略」では、弱者のとるべき戦略が「差別化戦略」であるのに対して、強者は「ミート戦略」(模倣戦略) とした。強者はあえて敵と同質な作戦をとり、持てる兵力によって相手を圧倒するという作戦だ。つまり当時の松下電器の戦略は合理的だったわけである。 市場環境や変化スピードがまったく異なる現代のビジネスにおいて、安易にこの戦略をあてはめることはできないが、(1)先行企業が切り拓いた市場が極めて有望で二番手でも十分に利益が見込める、(2)先行企業がカバーできないエリアで強みを発揮できる、(3)先行サービスに改善を加えて差別化を図る余地がある (4)先行者に対して経営資源で強みがあり先行者と同等のスピート経営ができる ようなケースにおいては、この「ミート戦略」は依然として有効だ。 それにしても、ナンバー1が業界利益を独占することが多いインターネット時代において、50社のうち2割にあたる10社がフォロー戦略の企業であったことに、筆者は驚きを感じている。ディスラプターと呼ばれる業界破壊者は、必ずしもテクノロジーのジレンマを解消したイノベーターだけではない。十分な経営資源を持ち、すばやく二番手参入するフォロアーにも十分な勝機があるのだ。そのことをこの10社が証明していると言えるだろう。 著名企業も多く、各ディスラプターを個別にはコメントしないが、業種視点では以下のように分類できる。
1. Uberの切り拓いた事業分野は極めて有望で他業種展開も見込める反面、各地域の法制度や慣習に従う必要があるので、地域毎にフォロアーが立ち上がり、それぞれ急成長している。 2. 遺伝子検査におけるフォロワー、Veritasは全ゲノム情報に対象を広げたことで、先行企業である23andMeと差別化している。 3. 先行したUdacityが企業ベースでテック系の講義が中心なのに対して、Courseraはスタンフォード大学教授が立ち上げたこともあり、多くの大学とコラボしており、幅広い学びを得られるところが差別化のポイントだ。Udacityは職業訓練校、Courseraは高等教育の常識を破壊したとも言えよう。 Fintechおよびデジタルマーケティング分野においてもフォロワーで成功している企業が多い。それぞれ先行企業にがいるが、分野が多岐にわたり、地域特性が大きいこともフォロワー成立の要因だろう。 イノベーションに関する関連記事は こちら 08. "2018 Disruptor50" 資料の総まとめ (2018) 07. フォロー戦略で急成長する破壊者 (2018) 06. 際立った顧客サービスを持つ破壊者 (2018) 05. 常識を覆す低価格を実現した破壊者 (2018) 04. P2Pプラットフォームを持つ破壊者 (2018) 03. 独自のテクノロジーを持つ破壊者 (2018) 02. 業界を破壊する新興企業トップ50 (2018) 01. イノベーションの教科書、iWokrout 「2018 CNBC Disruptor50」は、ニュース専門局CNBCが毎年発表している世界のディスラプター、トップ50リストである。ディスラプターとは「業界の破壊者」、業界秩序や商習慣にとらわれずに、斬新なビジネスモデルやテクノロジーを市場に持ち込み、驚くべきスピードで顧客を獲得している企業を指す。(詳しくは こちらの記事 をどうぞ) このブログでは、独自の基準で、この50社の「5つのタイプ」への分類を試みた。
今回の記事では「限定した顧客層の心をつかむことで業界を破壊する特化サービス型」のディスラプター9社について、主要なスペックを記するとともに、イノベーションの基本となる「顧客」「課題」「事業の着眼点」についてシンプルな言葉で整理してみたい。
特に特化サービス型の成功企業は、この三点の深掘り、つまり「顧客層を特定し、満たされていない課題を発見し、それを解決する新しいアイデアを着想するか」という3ステップの典型的な成功事例と言えるだろう。 15. Progyny (2015年創業、不妊治療サービス) 子どもがほしくてもできないカップルは深い悩みを抱えている。不妊治療は高額だし、友人にも相談しづらく、孤独に陥りやすい。Progynyはそのような不妊の悩みを解決するために、パーソナルサポートをベースに、体外受精を含む不妊治療の費用補助や相談を提供するサービスを開始した。ただし営業活動はB2B、つまり企業向けの福利厚生サービスだ。社員ロイヤリティ向上に加えて、精神的な安定による生産性向上が期待される効果だ。ニッチではあるが、それだけに悩みが深い。深刻な悩みこそそイノベーションの原点であることを再認識されてくれるサービスと言えるだろう。2015年創業と若い会社だが、推定時価総額はずでに110億円に達しているようだ。 関連記事:データ分析やセキュリティが主戦場に Progyny 20. Peloton (2012年創業、在宅フィットネス) Pelotonは健康思考だがプライバシーを大切にしたい高収入層にフォーカスした。彼らが持つ、自宅で本格的に、しかも飽きずに運動したいという課題に着目。専用自転車マシンを開発し、自宅にフィットネス空間をつくるサービスを開始した。専用マシンは25万円、新製品にいたってはなんと45万円、それに月額4000円以上のランニングコストがかかるにもかかわらず、全米でずでに30万台を完売したという。人気の秘密は手厚いサービスだ。自宅で人気トレーナーのレッスンが受けられる他、仲間と繋がれたり、データを共有したりと、IoTと動画ライブをフルに駆使して構築されているのだ。創業わずか5年で、推定時価総額1500億円とユニコーンの仲間入りを果たしている。 関連記事:NYの超人気サイクルエクサが自宅で受けられる Peloton 23. WeWork (2010年創業、シェアワークスペース) ソフトバンクが出資し、2018年に派手に日本上陸したWeWrokは、推定時価総額で2兆円を超える巨大ディスラプターだ。同社が対象としたのは、個人で仕事をしている人やスタートアップ。彼らがオフィスにもとめているのは単にスベースだけではない。クリエイティブな人たちとつながれる、刺激的なスペースで働く体験を求めているのだ。そのような課題を解決するために、同社ではシェアスペースだからこそできる多様な創意工夫と、WeWork Commonsというコミュニティを提供している。その効果は絶大で、すでに22カ国74都市に274カ所以上の物理的な拠点を有し、会員数は25万人以上に達しているようだ。不動産という極めて古典的な業種でも大規模なイノベーションの余地がある。そんな新鮮な驚きを与えてくれる素晴らしい事例と言えるだろう。 関連記事:新しい働き方を示す「WeWork」 人気の秘密はコミュニティデザインにあり 24. Ellevest (2016年創業、女性専用の投資顧問) これまでほとんどの投資顧問サービスは、高所得者の男性をペルソナにしているものだった。Ellevestはこの盲点をつき、結婚や子育てなど環境変化を不安に感じる女性を対象として、女性のライフイベントをベースにして最適な資産運用をするロボアドバイザーを立ち上げた。暗黙のうちに男性を対象としたサービスは世の中に溢れている。女性の社会進出とともに、女性特化のサービスは発想しやすい着眼点と言えるだろう。女性向けサービス創業2年で推定時価総額は110億円だが、着眼の面白いFinte企業として業界の注目を集めている。 関連記事:金銭的な格差により、女性が経済面で男性より苦労する理由 25. Zipline International (2015年創業、ドローンによる医療品配送) Ziplineはドローン配送にチャレンジするスタートアップだが、車が通りづらい僻地の診療所や病院を対象にした医療品配送にフォーカスしたところが面白く、社会貢献性も高いので注目を集めている。期待が大きいだけに、今後はアマゾンなどと巨大企業との争いになると予想されるドローン配送技術だが、その実験期からブルーオーシャン戦略をとっているのがZiplineの特徴と言えるだろう。 関連記事:ドローンによる医療品配達サービスのZiplineが2500万ドルを調達 29. Flirtey (2013年創業、ドローンによる小売・食料品配送) Ziplineがブルーオーシャン戦略をとったのに対して、Flirteyはオンライン小売や食品配達事業者を支援するという、まさにドローン配送の本丸サーピスにチャレンジしているスタートアップだ。同業界は単価も安くリピートする商材を扱っており、予想される市場規模は巨大だ。すでに米国ではじめて完全自律型ドローンで住宅地への配送テストも成功しており、技術力を武器としているのが特徴だろう。ただしファーストステップでは、より深刻なニーズがある「災害時の救助活動や応急処置キットを送る」という人道支援分野を事業の足がかりとするようで、その点から同社を特化サービスに分類した。 関連記事:新興企業Flirtey、完全自律型ドローンで住宅地への配送テストに成功--米国初 37. Thinx (2011年創業、生理用ショーツ製造) 女性の生理用品といえば、毎月の消耗品購入が必要。そんなイメージを払拭したのが生理用ショーツを開発するThinx(シンクス)だ。同社は三年の開発期間をかけて、抗菌・発散・吸収・漏れ防止の4層を備えたショーツを開発した。同製品は女性のみならず、トランスジェンダーの男性も対象している。もっとポジティブに生理に向き合い、快適に暮らせるようにしたい。そのビジョンを明確にしたニューヨーク地下鉄での広告 −ピンクグレープフルーツの断面やたれ落ちる生卵で生理を表現した− におけるセンセーショナルなクリエイティブが話題を呼び、同社は一躍有名になった。 関連記事:もうナプキンは要らない?NY生まれの生理用ショーツTHINX(シンクス) 45. Fanatics (2011年創業、スポーツグッズ製造販売) スポーツファンであれば、応援しているチームや選手のグッズには目がないはず。同社は熱烈なスポーツファンにペルソナを絞り、ファン向けに特化したライセンス商品やグッズの製造流通、またオンラインECサイトの運営を手がけるスタートアップだ。すでに同社は主要プロスポーツリーグやメジャーメディアブランドに展開し、300以上のオンラインおよびオフラインストアを運営しており、スポーツ用品の世界的な売上シェアにおいて約10%を獲得しているとされている巨大ディスラプターだ。急成長する同社は、創業7年で推定時価総額5000億円近くに達しており、2018年1月には日本にも進出している。 関連記事:本場の米企業に学ぶ スポーツの産業化とは 49. GitHub (2008年創業、ソフト開発プラットフォーム) GitHubは、ソフトウェア開発者がソースコードやバグの管理をするためのプラットフォームで、個人や企業を問わず無料で利用することができるものだ。今や知らないエンジニアを探すのがむずかしいほど世界的に普及しており、利用者は2800万人で急成長が続いている。Wikiやタスク管理ツールなどさまざまな支援サービスを提供するとともに、巨大な開発者コミュニティが形成されており、一種のエコシステムと言っても良いだろう。2018年にマイクロソフトが8200億円で買収したことで話題になった。 関連記事:MicrosoftがGitHubを買収するメリットは何か イノベーションに関する関連記事は こちら 08. "2018 Disruptor50" 資料の総まとめ (2018) 07. フォロー戦略で急成長する破壊者 (2018) 06. 際立った顧客サービスを持つ破壊者 (2018) 05. 常識を覆す低価格を実現した破壊者 (2018) 04. P2Pプラットフォームを持つ破壊者 (2018) 03. 独自のテクノロジーを持つ破壊者 (2018) 02. 業界を破壊する新興企業トップ50 (2018) 01. イノベーションの教科書、iWokrout 「2018 CNBC Disruptor50」は、ニュース専門局CNBCが毎年発表している世界のディスラプター、トップ50リストである。ディスラプターとは「業界の破壊者」、業界秩序や商習慣にとらわれずに、斬新なビジネスモデルやテクノロジーを市場に持ち込み、驚くべきスピードで顧客を獲得している企業を指す。(詳しくは こちらの記事 をどうぞ) このブログでは、独自の基準で、この50社の「5つのタイプ」への分類を試みた。
今回の記事では「新しい着眼点で、常識を覆すプライスを実現した価格破壊型」のディスラプター8社について、主要なスペックを記するとともに、イノベーションの基本となる「顧客」「課題」「事業の着眼点」についてシンプルな言葉で整理してみたい。
なお、説明文では「なぜ業界を揺るがすような価格破壊を実現できたのか」を探り、それぞれのビジネスモデルの特徴についても言及しているので、ぜひ自社のビジネスの参考にしてほしい。 8. Udacity (2011年創業、オンライン教育) インターネットを活用し、安価で質の高いオンライン教育サービスを提供するパイオニア的な存在がUdacityだ。低価格をもたらしたのは「動画をベースにしたフリーミアムモデル」の構築だ。自宅やオフィスで質の高い講義を受講できる画期的なサービスは、旧態然とした教育業界に衝撃的な価格破壊をもたらした。推定時価総額は1100億円のユニコーン企業だ。 関連記事:UdacityとGoogleが新卒や中途転職者のための無料のキャリアコース12種を開始 9. Rent the Runway (2009年創業、ブランド品レンタル) 結婚式などで高級な服を着たいが高すぎるというブランド好き女性の悩みを解決するために、ネットをフル活用してブランド品をレンタルする、ブランド品のシェアサービスだ。低価格を実現したのは「レンタルモデル」、破壊するのはファッション、小売、EC業界だ。すでに1000億円近い時価総額と予想されている。 関連記事:将来は「レンタル」ボタンが当たり前に?Rent The Runway共同創業者の講演レポ 11. TransferWise (2010年創業、個人海外送金) 海外在住者や留学生、その家族など、日常的に海外送金しているが、このコストが高くて困っているユーザーに向いて、格安の手数料で送金できるようにしたFIntechサービス。TransferWiseは世界中に口座を持ち、リアルタイムの為替レートで同社が両替を実施することで、為替手数料をゼロにした価格破壊サービスだ。つまり低価格は「実際の海外送金を発生させずに送金する仕組み」(動画を参照)という素晴らしい着眼により実現されている。推定時価総額は1700億円である。 関連記事:常識を覆す海外送金サービス「TransferWise」を使ってみた 12. Oscar Health (2012年創業、オンライン医療保険) 医療費が高いことで知られる米国では安価に医療を受けたい人が非常に多い。そのような悩みを持つ米国人にとって救世主的なサービスが、スマホをベースにしたオンライン医療保険、Oscar Healthだ。同サービスに加入すると、無償で医師による電話診療や往診、配薬、一般的な検査まで無償で提供。フィットネス実施で報奨金を受け取れるなどユニークなサービスもある。申込みはすべてスマホで完結、過去のログも管理される優れものだ。低価格のキモは「スマホ特化」した着眼だろう。なお時価総額は3500億円と推定されている。 関連記事:Oscar Health、米国版国民皆保険となりうるか? 14. SurveyMonkey (1999年創業、アンケートツール) Survey Moneyは無料で手軽に調査ができるアンケートツールだ。特に顧客や社員の声を経営に活かしたい企業の強い味方となっており、日本にも多くのユーザーがいる。低価格を実現できたのは、細かいカスタマイズが多いアンムートシステムを「シンプルなサービス」にしたこと。それによる「フリーミアムモデル」の構築にある。2018年にIPO、時価総額は現時点で1800億円ほどだ。 関連企業:アンケート管理サービスのSurveyMonkeyがIPO後はじめての決算発表 28. Xiaomi (2010年創業、スマホ・家電製造) 2010年に創業されたにもかかわらず、驚くべきスピートで急成長した中国の家電メーカー、Xiaomi(シャオミ)。すでに売上高は約2兆円、時価総額も約5兆円に達している。スマホメーカーとして創業、iPhoneがほしいけれども高くて買えない一般ユーザーにむけて原価に近い価格で高性能機器を販売、広告やゲームなどのサービスで収益をあげた。低価格を実現できたのは、本体は原価で配布して付属品で利益をあげる「ジレットモデル」の構築によるところが大きい。現在は機器にとどまらず、Amazonのようなあらゆるモノやサービスを提供する経済圏としての拡大を目指している。 関連記事:新型iPhoneもお手上げ…「中国スマホ市場失速」でもシャオミが絶好調な理由 35. Duolingo (2011年創業、アプリによる語学教育) Duolingoはアプリによる語学学習のパイオニアだ。 すでに数十という多国語に対応しており、スマホベースに無償で言語を学ぶことができる。また利用者が学習に熱中するようゲーミフィケーションを多用している他、データ駆動型の教育手法を重視しており、機械学習をフルに活用することで高い学習効率を生み出している。収益は広告とサブスクリプションという「フリーミアムモデル」。それに上級者の学習プロセスで翻訳活動を行い、その結果に対して企業がDuolingoに翻訳料を支払う仕組みも持っているようだ。これは「認証の手続きで正しいテキストを入力させ、その結果をOCRデータ解読にも活用」する一石二鳥の「reCAPTCHAモデル」と同じものだ。時価総額は800億円と推定されている。 関連記事:AIで破壊的革新を起こす--語学学習プラットフォームDuolingoの取り組み 38. Robinhood (2013年、ネット金融取引) Robinhoodは、無料の株式売買サービス。まさに業界の価格破壊者だ。ゼロにしたのは株式の売買手数料であり、それを実現したのは「顧客の注文データの企業への販売」である。2018年2月からは仮想通貨も対象となった。しかし、最近になってこの販売価格が注文あたり約0.009円〜約0.029円と高額で同業他社の10倍以上でありことから、一部で懸念が高まっているというニュースも流れている。 関連記事:手数料無料のRobinhoodはどのようにして収益を得ているのか? イノベーションに関する関連記事は こちら 08. "2018 Disruptor50" 資料の総まとめ (2018) 07. フォロー戦略で急成長する破壊者 (2018) 06. 際立った顧客サービスを持つ破壊者 (2018) 05. 常識を覆す低価格を実現した破壊者 (2018) 04. P2Pプラットフォームを持つ破壊者 (2018) 03. 独自のテクノロジーを持つ破壊者 (2018) 02. 業界を破壊する新興企業トップ50 (2018) 01. イノベーションの教科書、iWokrout |
著者ビジネス・ブレークスルー大学教授、現役起業家の斉藤徹です。人を幸せにしたいと願う起業家や社会人を育て、一緒に世界をもっと優しいところにする活動をしてます。 アーカイブ
8月 2021
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