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【速報】Z世代が市場を変える。時価総額1.2兆円、驚異の破壊企業。ロビンフッドの今を5分間で理解する

8/31/2020

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​2020年6月に、米国放送局CNBCが「2020 ディスラプター50」を発表しました。

このブログでは、業界破壊企業の最新動向を定期的にお伝えしていきます。はじめの記事は、新型コロナも追い風になり、驚異的な成長をみせる証券分野の業界破壊企業「ロビンフッド(Robinhood)」の最新ニュースから。


■ 4ヶ月で3回の資金調達。時価総額は112億ドルに (8/17)

新興オンライン証券の雄、ロビンフッドは、コロナ禍において驚異的な成長を遂げており、8月17日にベンチャーキャピタルから約210億円の資金調達を実施したと発表しました。

背景にあるのは、ロビンフッダーと呼ばれる大学生たちの間で、ゲーム感覚での株式取引が大ブームとなっているからです。

そのため、システム増強などに対する資金需要が旺盛で、ベンチャーキャピタル(セコイア、グーグル系など名だたるVC9社)に対して、2020年5月、7月、8月と矢継ぎ早の第三者割当増資を実行。今年トータルで800億円を超える資金を集め、時価総額は未上場ながら約1.2兆円となりました。


■ ロビンフッドって、いったいなにもの?

ロビンフッドは、2013年にスタンフォード大学でルームメイトだったウラジミール・テネフとバイジュ・バット(ともに移民2世)が立ちあげた、手数料無料で株式の売買ができる金融系スタートアップです。

サービスの特徴は、①手数料が無料、②1ドル未満のわずかな元手で、③スマホベースで気軽に株式の売買ができること。

そのため、投資経験がない若者 (利用者は平均31歳、ほぼ半数がビギナー) が、コロナ給付金などをもとに、ゲーム感覚で株式の売買に参加しはじめ、大きなトレンドとなりました。

例えば、ロビンフッドは2020年第1四半期(1~3月) に口座数を300万増やしましたが、これは「オンライン証券」が誕生して以来の衝撃と言われており、Eトレードなど大手の口座数を一気に抜きさって、業界関係者を驚かせました。
ロビンフットの共同創業者、テネフとバット
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■ マーケットを動かし始めたZ世代

ゲーム感覚で株式に投資する若者たちは「ロビンフッダー」と呼ばれており、資産家が支配していたウォール街をも動かしつつあります。特にZ世代(1996年以降に生まれたソーシャルネイティブ世代)である大学生にとって、資本主義の支配層、特にウォール街に対する挑戦と言ってもいいかもしれません。

例えば、米国株式相場がコロナショックによる激震から素早く立ち直った背景にはロビンフッダーによる投資があるとの見方も少なくありません。

​経済学者ケインズは「株式投資は美人投票のようだ」と例えましたが、初心者である彼らの行動は、まさに好きなブランドに対する投票といえます。そのため、Z世代に知名度の高い企業の株価に、ポジティブな影響がでてきています。

参考までロビンフッドで売買された株式 (2020年8月3日) ベスト5銘柄は、1位がTesla、2位がAmazon、3位がAppleとなっており、いずれも急騰しています。

ただし、これらの株式の急騰は、ロビンフッダーに加え、へッジファンドによる投資の影響も大きいと考えられていることを付け加えておきます。

若者によるロビンフットの使いかた解説。驚くほど使い勝手のよいアプリ

■ この会社の収益は、いったいどこから来るのだろう?

それにしても「手数料が無料」の株式売買は、なぜ成立するのでしょう。従来の証券会社の常識を根本からくつがえす新興企業の収益は、いったいどころから来るのでしょう。

同社は、創業時から「収益より利用者の利便性を追求する」と宣言しており、①フリーミアムモデル(有料会員は一定額の融資を受けることができる)、②利用者の預かり口座から得られる金利 ③提携銀行からのデビットカード手数料 などが収益の基盤としているとしてきました。

しかし2018年、米国証券取引委員会(SEC)に提出した第二四半期の報告書から、同社が顧客の注文データをHFT(超高速取引)企業に売却する「ペイメント・フォー・オーダーフロー」という手法により、巨額の利益を得ていた事が明らかになったのです。


■「ペイメント・フォー・オーダーフロー」って、どういうこと?

ロビンフッドの主要クライアントである「HFT企業」とは、1ミリ秒(0.001秒)という超高速な売買を行うことで利益を生み出す仕組みを持つ投資企業のことです。

HFTが利益を生み出す仕組みは、市場間のわずかな価格差を検知して利ざやをあげる「アービトラージ取引」やニュースや経済指標が発表に時点で自動注文を入れる「ディレクショナル取引」などがありますが、「フロントランニング」と呼ばれる法律で禁じられた取引 ― 利用者の注文に対して、その注文が成立する前に超高速で買いと売りをほぼ同時に入れることで、100%に近い確率で利ざやを上げる ― をしているのではという疑いもあるようです。

いずれにしても、SEC報告書によってわかったのは、ロビンフッドは、HFTに利用者の注文情報を流すことでリベートを受け取り、収益の4割強をまかなっていたということ。それも、大手金融機関の10倍以上の単価でリベートを受け取っていたことがわかりました。
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出典:清水葉子氏「アメリカの証券委託売買 手数料無料のビジネスモデル」より

ロビンフットの快進撃に刺激を受けた証券業界では、昨年10月のチャールズ・シュワブを皮切りに、TDアメリトレード、Eトレードなども手数料無料に踏み切っていますが、そのいずれもが、HFTへ注文を回送することで利益をあげているようです。

なお、日本の証券業界にも売買手数料無料の波は届いていますが、注文回送へのリベートがないなど証券業界のビジネスモデルが異なるために、米国とは異なる流れになるだろうと予想されています。


■ 社会の公器として問われる、ロビンフッドの功罪

"Investing for Everyone" ― その実現のために、ロビンフッドは収益を期待せず、損益ゼロになるよう運営する ― とは、創業者テネフ氏の言葉であり、同社の基本方針です。

リーマンショックに触発されて創業し、ウォール街に対する反体制文化と「富裕層から盗め」という精神で、ロビンフッドは若者の支持を受けて急成長しました。しかし、その収益の半分近くは、ウォール街でも物議を醸している取引慣行から得ていたことが明らかになり、弱者の味方どころか、強気を助け弱気をくじくのではないかと、一部から指摘されています。

また、今年3月の株式暴落のときに売買不能になるなど、急激な成長により生じたシステム障害が多いことも同社が抱える大きな課題です。さらに、今年の6月には、20才の大学生がスマホの情報を見誤り、巨額の赤字を抱えたと勘違いして自殺に追い込まれてしまったという悲劇まで発生しました。

それでも、コロナ禍で家に閉じこもる若者をウォール街に導き、先の見えない大暴落からマーケットを救ったロビンフッドは、投資家から見たら救世主にも見えるでしょう。

同社に大きな期待を寄せる著名ベンチャーキャピタルたちは、総額800億円という巨額の投資を行い、ロビンフットの勢いを強力に下支えする動きを見せています。



わずか7年前。ミレニアル世代の移民二世二人が創業した、ロビンフッド。
未上場ながら、時価総額1.2兆円。証券業界を破壊する勢いで成長する新興企業。


若者の、若者による、若者のための業界破壊企業が、今後、社会の公器としてどのように成長していくのか、その行く先に、大いなる注目が集まっています。


【関連情報】

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