2020年6月に、米国放送局CNBCが「2020 ディスラプター50」を発表しました。 このブログでは、業界破壊企業の最新動向を定期的にお伝えしていきます。はじめの記事は、新型コロナも追い風になり、驚異的な成長をみせる証券分野の業界破壊企業「ロビンフッド(Robinhood)」の最新ニュースから。 ■ 4ヶ月で3回の資金調達。時価総額は112億ドルに (8/17) 新興オンライン証券の雄、ロビンフッドは、コロナ禍において驚異的な成長を遂げており、8月17日にベンチャーキャピタルから約210億円の資金調達を実施したと発表しました。 背景にあるのは、ロビンフッダーと呼ばれる大学生たちの間で、ゲーム感覚での株式取引が大ブームとなっているからです。 そのため、システム増強などに対する資金需要が旺盛で、ベンチャーキャピタル(セコイア、グーグル系など名だたるVC9社)に対して、2020年5月、7月、8月と矢継ぎ早の第三者割当増資を実行。今年トータルで800億円を超える資金を集め、時価総額は未上場ながら約1.2兆円となりました。 ■ ロビンフッドって、いったいなにもの? ロビンフッドは、2013年にスタンフォード大学でルームメイトだったウラジミール・テネフとバイジュ・バット(ともに移民2世)が立ちあげた、手数料無料で株式の売買ができる金融系スタートアップです。 サービスの特徴は、①手数料が無料、②1ドル未満のわずかな元手で、③スマホベースで気軽に株式の売買ができること。 そのため、投資経験がない若者 (利用者は平均31歳、ほぼ半数がビギナー) が、コロナ給付金などをもとに、ゲーム感覚で株式の売買に参加しはじめ、大きなトレンドとなりました。 例えば、ロビンフッドは2020年第1四半期(1~3月) に口座数を300万増やしましたが、これは「オンライン証券」が誕生して以来の衝撃と言われており、Eトレードなど大手の口座数を一気に抜きさって、業界関係者を驚かせました。 ロビンフットの共同創業者、テネフとバット ■ マーケットを動かし始めたZ世代 ゲーム感覚で株式に投資する若者たちは「ロビンフッダー」と呼ばれており、資産家が支配していたウォール街をも動かしつつあります。特にZ世代(1996年以降に生まれたソーシャルネイティブ世代)である大学生にとって、資本主義の支配層、特にウォール街に対する挑戦と言ってもいいかもしれません。 例えば、米国株式相場がコロナショックによる激震から素早く立ち直った背景にはロビンフッダーによる投資があるとの見方も少なくありません。 経済学者ケインズは「株式投資は美人投票のようだ」と例えましたが、初心者である彼らの行動は、まさに好きなブランドに対する投票といえます。そのため、Z世代に知名度の高い企業の株価に、ポジティブな影響がでてきています。 参考までロビンフッドで売買された株式 (2020年8月3日) ベスト5銘柄は、1位がTesla、2位がAmazon、3位がAppleとなっており、いずれも急騰しています。 ただし、これらの株式の急騰は、ロビンフッダーに加え、へッジファンドによる投資の影響も大きいと考えられていることを付け加えておきます。 若者によるロビンフットの使いかた解説。驚くほど使い勝手のよいアプリ ■ この会社の収益は、いったいどこから来るのだろう? それにしても「手数料が無料」の株式売買は、なぜ成立するのでしょう。従来の証券会社の常識を根本からくつがえす新興企業の収益は、いったいどころから来るのでしょう。 同社は、創業時から「収益より利用者の利便性を追求する」と宣言しており、①フリーミアムモデル(有料会員は一定額の融資を受けることができる)、②利用者の預かり口座から得られる金利 ③提携銀行からのデビットカード手数料 などが収益の基盤としているとしてきました。 しかし2018年、米国証券取引委員会(SEC)に提出した第二四半期の報告書から、同社が顧客の注文データをHFT(超高速取引)企業に売却する「ペイメント・フォー・オーダーフロー」という手法により、巨額の利益を得ていた事が明らかになったのです。 ■「ペイメント・フォー・オーダーフロー」って、どういうこと? ロビンフッドの主要クライアントである「HFT企業」とは、1ミリ秒(0.001秒)という超高速な売買を行うことで利益を生み出す仕組みを持つ投資企業のことです。 HFTが利益を生み出す仕組みは、市場間のわずかな価格差を検知して利ざやをあげる「アービトラージ取引」やニュースや経済指標が発表に時点で自動注文を入れる「ディレクショナル取引」などがありますが、「フロントランニング」と呼ばれる法律で禁じられた取引 ― 利用者の注文に対して、その注文が成立する前に超高速で買いと売りをほぼ同時に入れることで、100%に近い確率で利ざやを上げる ― をしているのではという疑いもあるようです。 いずれにしても、SEC報告書によってわかったのは、ロビンフッドは、HFTに利用者の注文情報を流すことでリベートを受け取り、収益の4割強をまかなっていたということ。それも、大手金融機関の10倍以上の単価でリベートを受け取っていたことがわかりました。 出典:清水葉子氏「アメリカの証券委託売買 手数料無料のビジネスモデル」より ロビンフットの快進撃に刺激を受けた証券業界では、昨年10月のチャールズ・シュワブを皮切りに、TDアメリトレード、Eトレードなども手数料無料に踏み切っていますが、そのいずれもが、HFTへ注文を回送することで利益をあげているようです。 なお、日本の証券業界にも売買手数料無料の波は届いていますが、注文回送へのリベートがないなど証券業界のビジネスモデルが異なるために、米国とは異なる流れになるだろうと予想されています。 ■ 社会の公器として問われる、ロビンフッドの功罪 "Investing for Everyone" ― その実現のために、ロビンフッドは収益を期待せず、損益ゼロになるよう運営する ― とは、創業者テネフ氏の言葉であり、同社の基本方針です。 リーマンショックに触発されて創業し、ウォール街に対する反体制文化と「富裕層から盗め」という精神で、ロビンフッドは若者の支持を受けて急成長しました。しかし、その収益の半分近くは、ウォール街でも物議を醸している取引慣行から得ていたことが明らかになり、弱者の味方どころか、強気を助け弱気をくじくのではないかと、一部から指摘されています。 また、今年3月の株式暴落のときに売買不能になるなど、急激な成長により生じたシステム障害が多いことも同社が抱える大きな課題です。さらに、今年の6月には、20才の大学生がスマホの情報を見誤り、巨額の赤字を抱えたと勘違いして自殺に追い込まれてしまったという悲劇まで発生しました。 それでも、コロナ禍で家に閉じこもる若者をウォール街に導き、先の見えない大暴落からマーケットを救ったロビンフッドは、投資家から見たら救世主にも見えるでしょう。 同社に大きな期待を寄せる著名ベンチャーキャピタルたちは、総額800億円という巨額の投資を行い、ロビンフットの勢いを強力に下支えする動きを見せています。 わずか7年前。ミレニアル世代の移民二世二人が創業した、ロビンフッド。 未上場ながら、時価総額1.2兆円。証券業界を破壊する勢いで成長する新興企業。 若者の、若者による、若者のための業界破壊企業が、今後、社会の公器としてどのように成長していくのか、その行く先に、大いなる注目が集まっています。 【関連情報】 ・最新の業界破壊企業の情報については こちら をどうぞ ・各種資料のダウンロードは こちら をどうぞ
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10月から始まる「hintゼミ 6期」の募集を、今週から本格的に開始しました。
こちらは「イノベーションクラス」の無料体験講座です。 今回は、新しい事業をつくるための具体的なブロセスをまとめた「hintフレームワーク」を大きくアップデイトしたので、それに基づくお話になります。 ・事業創造メソッド「hintフレームワーク ver2.0」について 特にチカラを入れたのは、何もアイデアがない状態から有望がアイデアをいかに生み出すところ。今回は、質の高い「問い」をあらかじめ用意することで、アイデアを閃きを誘発するステップを入れました。「新しい着眼点をひらめく問い」「新しい価値観をとりいれる問い」「最新の技術を組み入れる問い」「日本のトレンドを強みに変える問い」の4種類を用意しています。 また、PMF(製品市場フィット)の具体的なアプローチにもかなりチカラを入れました。「最小機能製品の事例」「最初の顧客のつくりかた」「ショーンエリスのテストを高めた事例」などを追加し、実践的、具体的に事業開発に役立つ内容に進化させています。 この無料体験講座でお話するスライドはこちらになります。 なお、この体験講座のベースとなっている「hintフレームワーク v2.0」についても、来週早々にはこちらのページで公開し、ダウンロードもできるようにする予定です。 フレームワーク自体は200ページを超える大作なので、ポイントをピックアップして、全体の流れを把握したいという方向けに、こちらの講座を用意しました。「hintフレームワーク2.0」にそったイノベーションのつくりかた講座です。 二回行いますが、同じ内容なので、ご都合のよい方をお選びください。 日時 :9月06日(日) 10:00〜11:40 (完了) :9月14日(月) 20:00〜21:40 :9月22日(火) 10:00〜11:40 料金 :無料 (人数限定あり) メディア :Zoom (申込みしてくださった方に斉藤からURLをご連絡します) アジェンダ: 第1部 ハッピー・イノベーションのつくりかた (60分) ・0 to 1 〜アイデアを発想する ・CPF 〜顧客に共感し、課題を発見する ・PSF 〜 課題に対する解決策をつくる ・PMF 〜 市場が受け入れる製品をつくる 第2部 深く学び、実践するために (20分) ・hintゼミについて ・hintゼミ対談 〜 ゼミの学びを、自分のチームに活かすには 第3部 質疑応答 (20分) Zoomベースのライブ講演で、講師は僕です。第二部ではhintゼミメンバーも参加して「hintゼミで学んだことを、現実のチームの中で、どう活かしていくか」みたいな話もしようかなと思ってます。hintゼミメンバーも参加して、ゼミの紹介も入りますが、聞いてもらえるとうれしいです。(hintゼミメンバーは、僕にとって価値観と知見をともにしたよき友人であり、頼れる同志です) 個人ないし企業で □ 強みを生かした、新商品やサービスのつくりかたを知りたい □ 最短・最小コストで成功する事業のつくりかたを知りたい なんとなくわかってるんだけど、もっと具体的で、かつ、明日から活かせる手法を具体的に知りたい。そんな思いを持つ方におすすめです。個人の起業だけでなく、企業の事業開発にも役立つ内容です。よろしければどうぞお気軽にご参加ください。 それと、経営学クラス無料体験講座のご案内はこちらです。 ・幸せも成果も持続する、すごいチームのつくりかた講座 いずれもZoomの人数制限がありますので、お早めに。ではではー ■ 最新の業界破壊企業、Disruptor2020 米国のニュース専用放送局CNBCが毎年発表している「業界を破壊する新興企業、トップ50社」の2020年度版が6月に発表されました。 未上場で設立15年以内の会社を対象として、ノミネートされたのは過去最大の1355社。その中から以下のような基準をもとに、専門家55名で構成された「The 2020 CNBC Disruptor 50 Advisory Council」(メンバーは公開) によって審査されています。 ・定量的な評価としては「スケーラビリティ」と「顧客の成長」を最も重視 ・定性的な評価としては「会社動向」や「主要技術」などをベースに総合的に判断 ・2020年度は、特別な指標として「コロナ禍の影響と対応」を定性評価項目に追加 その結果、生まれたのが、2020 CNBC Disruptor50 です。 毎年、半分前後が新たに選出されます。今年度のリストのうち、2019年度から継続してランキング入した企業は22社でした。 中でも驚くのは、コロナ禍以降の約3ヶ月間で、新たに社員を採用した企業が、50社のうちで37社もあること。国連事務総長が「第二次世界大戦以来の危機」と例え、大恐慌を上回る経済危機をもたらしたコロナ禍ですが、これらの会社群は、むしろそれを追い風にしているということです。 では、具体的にどのような分野が伸びたのでしょうか。 コロナ禍で躍進したカテゴリーをグラフ化してみました。 昨年度のリストと比較して、もっとも躍進したのが「フィンテック(金融系テクノロジー企業)」分野です。リスト順に、Stripe(カード決済システム)、Klarna(リアルタイム後払い決済)、SoFi(P2Pレンディング)、Welab(ネット銀行)、Better.com(ネット住宅ローン)、Lemonade(ネット損害保険)、Root Insurance(自動車保険)、Affirm(リアルタイム後払い決済)、Kabbage(小口融資)、Chime(ネット銀行)、Dave(ネット銀行)、Trulioo(個人認証・企業認証)、Ripple(国際送金ネットワーク)、Tala(小口融資)、Marqeta(カード決済システム)、Robinhood(ネット証券)の16社がランクインしました。昨年度はStripe、Affirm、SoFi、Lemonade、Robinhood、Kaggage、Transfer wise、Elevestの8社でしたので、8社増加しました。すべてオンライン専用で、AIを始めとするテクノロジーを駆使する金融系スタートアップであることがわかります。 続いて「ヘルステック(医療系テクノロジー企業)」分野です。Tempus(AIによる癌治療支援)、Neteera(非接触バイタルセンサー)、Heal(オンデマンド訪問医)、Healthy.io(オンライン尿検査)、Butterfly Network(スマホ連動の超小型スキャナ)、K Health(AIによるプライマリケア)の6社がランクイン。昨年はVirta Health、Progyny、Veritas Genetics、23andMeの 4社なので2社増加しました。新たにランクインしたうちの2社、NeteeraとHealth.ioはイスラエルのスタートアップであり、同国が新興企業育成に力を入れていることがわかります。 最後に「オンライン宅配」分野。コンビニより便利な、自宅まで届けてくれるサービス。これから巨大な産業規模になることが予想されている、ラストワンマイル商売の争奪戦です。Coupang(韓国)、Gojek(インドネシア)、Doordash(米国)、Grab(シンガポール)、goPuff(米国)、Didi Chuxing(北京)の6社がランクインし、個々に地域でシェアを伸ばしています。特にGojekとGrabはともに「スーパーアプリ」と呼ばれる「なんでもできる、何でも宅配できるポータルアプリ」としてシェア争いをしています。この分野に関してはアジアが最も進んでいるのが特徴です。昨年度はDoordash、Grab、Didiの3社だったので、3社増加しています。 これらは、特にコロナショックを追い風にしたスタートアップ群ですが、個別に見てみると、多くの企業が「コロナ禍に対応する製品サービスのピボットや独自対応」を数ヶ月間で開発・発表しており、その社数は22社に及んでいます。以下にそのアクションをまとめておきます。 コロナ禍におけるアクションは多様ですが、総じていうと、顧客やパートナーに対して、自社サービスで対応できるさまざまな支援を、業界破壊企業は極めて迅速に実行しているということです。 激変する社会環境の変化へ、いかに速やかに対応していくか。これからいよいよ、企業の学習能力が問われていく時代になるでしょう。個々企業の具体的なアクションについて以下にまとめてみました。 以上、最新2020年度版「CNBC Disrutpor 50」におけるコロナショックへの対応でした。さらに詳しい内容や個々の企業については「業界破壊企業ページ」に書かれているまとめてあるので参考にしてください。
また、今週日曜19日 10:30から、Zoomで無料講座を開く予定です。まだ席に少し空きがありますので、ご興味ある方はこちらのページからご覧ください。 最新版「ディスラプター50」に準拠した「業界破壊企業2020」無料講座を開催!
四年ぶりに本を書きました。
執筆のきっかけは、大学講義『起業論』におけるスタートアップの調査研究です。書籍名となった『業界破壊企業』、英語ではディスラプター。すごいビジネスモデルやテクノロジーで「破壊的なイノベーション」を起こす新興企業のことです。 なんだ、そんなの昔からあるじゃないか。と感じてしまう方のために、こんなムービーをつくってみました。世界のトップ企業ランキング(時価総額ベスト10)が、1980年から2020年までの40年間でどう移り変わっているかを、ストーリーとして集約したものです。
この映像にあるすべてのバブルとその崩壊は、僕自身が強烈な体感を通じて学んできたもので、頭の中には未だに生々しい記憶があります。
中でも、インターネットの登場は世界を大きく変えました。 「価値をつくるコスト」「知ってもらうコスト」が激減したのです。「リーンスタートアップ」「デザイン思考」など事業創造メソッドも確立されたことで、いまや、極めて短期間に「業界を破壊するような影響力を持つスタートアップ」が続々と登場する時代になったのです。デジタル・ネイティブ「ミレニアル世代」の台頭も、それを加速させる要因となっています。 網羅的に良質な新興企業を選定するために、米国ニュース専門局CNBCが毎年発表する「CNBC ディスラプター50」をベースにして、業界を破壊するようなインパクトをもつ企業を22社ピックアップし、具体的やサービスの特徴やその成功要因を解説しました。手元において、いつでも参考にできる「最新ビジネスモデル辞典」として活用いただけることを目指しました。 加えて「ミレニアル」「サステナブル」「リーンスタートアップ」など、業界破壊企業を生みだすエッセンスについても詳しく解説を加えており、最新のビジネス用語やビジネストレンドを、前提知識なしでも誰でも理解できるよう心がけました。 さらに、この40年のベンチャーの歴史をひもといて、バブルの発生と崩壊、いま注目されているWeWork問題からコロナショックまで、そのインパクトや今後の見通しについても書き下ろしています。 本の内容については、イノベーションチームdot につくってもらったホワイトボード・アニメーションがめちゃわかりやすいと評判ですので、ぜひチェックしてみてください。
ビジネスの潮流を辿ると、今、なぜ、人々の価値観が大きく変容しようとしているのか、これからどのような視界が広がるのかがおぼろげながら見えてきます。
キーワードは「お金視点の経営から、幸せ視点の経営」へ。そんな未来の方向まで示唆した、濃い内容の一冊に仕上げました。 これから大きく変わりそうけど、どう変わるかわからない。どうすればいいのかわからない。 そんな方におすすめです。ぜひ手にとって、今という時代を体感してみてくださいね。 なお、この書籍をもとにした講演もお受けしています。ご興味ある方、スライドを みんなの図書館 にて閲覧・ダウンロードできますので、ぜひご覧くださいね。 光文社新書『業界破壊企業』 一年に一度、夏のおわりに発表される「ガートナー テクノロジー・ハイプサイクル」。 以前書いてたブログ "in the looop" でもずっと追いかけてたので、ちょい懐かしい。 2019年8月30日 ガートナー、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2019年」を発表 さて、最新ハイプサイクルが今日発表されたので、それにあわせてオリジナルのアイデア発想手法「hintフレームワーク」も更新しました。 ちなみに「hintフレームワーク」は、新規事業や新製品の発想を、だれでも簡単に、めちゃいっぱい出せちゃうオリジナルの発想方法です。詳しくはこちらをどうぞ。 ・2019 Discurptor50と連動した「hintフレームワーク」を公開します それと、今回対応させたガートナーの「テクノロジー・ハイプサイクル」についても説明しときますね。ハイプサイクルは、テクノロジーの普及を5つの段階 (黎明期、過剰な期待のピーク期、幻滅期、啓蒙活動期、生産性の安定期) に分類し、主たるテクノロジーを普及カーブ上にプロットしたもの。 やさしく言うと、技術ってのは、最初はめちゃ注目されて万能みたいにはやされるんだけど、実用化されるにしたがって「なんだよ、こんなこともできないのかよ😂」って幻滅される。これがお決まりのパターンなんだけど、一部の素晴らしい技術は、がんばって試行錯誤を繰り返すうちに使えるようになってきて、安定して普及してゆく。その技術の盛衰のカーブをあらわしたものです。 今回、追加したのは、以下の三枚のスライドです。 それから、もう一つ。とても大切なチャートを追加しました。 顧客体験をシフトする源泉となるビジネスモデルを追加することで、顧客体験のパターンごとにまとめて「どうすれば顧客体験をシフトできるか」を発想しやすくしたことです。 これからも、このフレームワークは「CNBC Disruptor50」や「テクノロジー・ハイプサイクル」、さらに最新ビジネスモデルと適時準拠されることで、常に「最先端のイノベーション」を簡単に発想できる仕組みとして成長させていきたいと思ってます。 より具体的に、オンライン教室でhintフレームワークを学びたい方は、hintゼミを受講ください。 hintゼミの関連記事は こちら です。 ・いろんな発想法を集約した、ひらめきを生むクエスチョン ・オリジナル教科書「楽しく役立つ経営学」を公開します ・大学の経営学講義を社会人向けに超圧縮した「hintゼミ」10月からはじめます ・2019 Discurptor50と連動した「hintフレームワーク」を公開します ・2019 Disruptor50資料の総まとめ また、hintゼミの教科書「hint book」は、会員ページ(無料) からダウンロード可能です。 (順次アップデイトしていきます) 質の高いアイデアを発想するには「質の高い問い」こそが大切です。 新しい発想を求められる会議、複雑な問題を解決するための会議。 いずれにしても「質の高い問い」がキーファクターになります。 特に、集まった人たちの知恵を集約するには、 参加者の頭を刺激して、ワクワクしながら考え始めるきっかけとなるような、 創造的な質問がとても重要ですよね。 では、創造的な質問はどう生み出せるのか? いや、実は生み出さないでも「基本パターン」があるのです。 今回の資料は、世の中にある多様なアイデア発想法、 さらに日本の未来やテクノロジートレンドを調査した上で、 実践で使えそうなものを厳選し、集約したものです。 なおこの資料も 10月9日から始める hintゼミ の補足テキストです。 みなさまの会議などで、活用しただければうれしいです。 hintゼミの関連記事は こちら です。 ・オリジナル教科書「楽しく役立つ経営学」を公開します ・大学の経営学講義を社会人向けに超圧縮した「hintゼミ」10月からはじめます ・2019 Discurptor50と連動した「hintフレームワーク」を公開します ・2019 Disruptor50資料の総まとめ また、hintゼミの教科書「hint book」は、会員ページ(無料) からダウンロード可能です。 (順次アップデイトしていきます) 経営学はとても楽しく、現実に役立つ学問です。 僕自身、起業家になって約30年、悩むたびに経営学の名著と向き合い、実践してきました。 そして大学の先生になり、学んできたことを、次の世代に伝える役割になりました。 座学形式の講義は「企業経営とトップマネジメント(通期)」と「企業経営とソーシャルキャピタル」、あわせて40コマ×90分で年間60時間。演習形式の講義は「起業論1」「起業論2」「インキュベーション塾」、あわせて40コマ×90分で年間60時間。 就職もしたことがない若者が「経営学」に熱中するにはどうすればいいか、約四年の試行錯誤を続けたことで、だんだんに支持してくれる学生が増えました。 今回はじめる「hintゼミ」は、大学講義のエッセンスを社会人向けに進化させて、ギュッと絞ったもの。120時間の講義を、21時間分に凝縮したカリキュラム。ただし大切な学びやメッセージをはすべて含めて、幸せ視点の経営学の教科書「hint book」として体系化しました。 オーソドックスな経営理論を学びながらも、新しい刺激を随所に盛り込み、一般的な講義で味わえない濃い学びになったと自負しています。内容は「経営学史と最新経営学」「ポジティブ心理学」「ソーシャルキャピタル」「リーダーシップ」「未来の組織」「ビジョン」と、経営や組織運営の実践において、即戦力の内容になっています。 演習も磨き上げました。短時間で大量の事業アイデアのタネを生む「hintフレームワーク」を開発。そこで生まれたアイデアを「デザイン思考・リーンスタートアップ・ジョブ理論・ビジネスモデルキャンバス」といった最新手法を学びながら具現化していきます。最終的にはプロトタイプやビジネスモデルまでつくり、最終日にプレゼンとしてまとめる流れです。 「hintゼミ」は三部で構成しています。講義が80分、演習が90分、それに自宅ワーク(想定60分ほど)です。演習は受講者同士で話し合う場もありますが、基本的には個人ワーク。自分個人ないし自分の組織が実現したい事業アイデアを考えて、最新理論に基づいて最短距離でカタチにしていくという、きっとワクワクしていただける課題です。 とても濃い内容なので、途中で二回、個別でアドバイスする日 (リアル講義のみ) を用意しました。ファンベースの佐藤尚之氏と僕が直接コンサルティングします。 最終発表は、評価を経て厳選された5つの事業が対象です。これはまだ確実なことではありませんが、単なる発表にとどまらず、その事業に興味を持つ企業や投資家の目にふれるような機会を提供できないかなと模索しています。 講義形態は、リアルとオンラインがあります。 リアルコースは、12名限定。19:30〜22:30で、場所は選定中ですが、たぶん新橋近辺になりそうです。遅刻や欠席、それに復習したいときにもオンラインで学べるので安心です。リアル受講者には、個別アドバイス2日間もついてきます。 オンラインコースは、時間や場所を選ばず、マイペースで学べる講義スタイルです。質問などを通じて、斉藤と対話しながらアイデアを磨くこともできます。発表にチャレンジすることも可能です。 料金についてです。リアルは10万円、オンラインは5万円 とさせていただきました。 気軽に出せるお金ではないと思います。 それを大きく上回る価値をご提供すべく、真剣で丁寧な講義の開発に取り組んでいます。 なお、個人ではなく組織研修として参加して、組織のイノベーションを考えることも可能です。 わからないことなどあれば、なんなりと お問い合わせ ください。 (追記) おかげさまで、リアルコースは申し込みが12名に達しました。(2019年8月28日21時現在) リアルコースをご希望の方には、準備ができた段階で次回開催のご案内をさせていただきます。 また、定員のないオンラインコースはまだ受講可能です。なにとぞよろしくお願いいたします。 学習院大学では「起業論」の自主ゼミから始まった「イノベーションチームdot」が、いまや160名を超える、活発で自主的な学生コミュニティに育ちました。この「hintゼミ」でも、dot学生たちにも手伝ってもらって、価値の高い社会人コミュニティが形成され、継続的な価値を提供していけたらいいなあと勝手に夢想しております。 なお「hintゼミ」のお申し込みやご質問などは、何でもおお気軽に [email protected] あてメールいただくか、「hintゼミ」ページのフォームからお送りください。 では、みなさまと10月9日にお会いできるのを楽しみにしております。 P.S. 商品開発もマーケティングも経験がなし。 ごく普通の社会人が「hintゼミ」にチャレンジするとどうなるのか? たまたま、このブログを見てメッセしてくれた三原真理子さんが、今ちょうど、そんなチャレンジをしてくださってます。具体的でわかりやすく、このゼミを理解するのに役立つと思いますので、彼女の記事をご紹介しますね。
関連記事 ・2019 Discurptor50と連動した「hintフレームワーク」を公開します ・2019 Disruptor50資料の総まとめ [2019/8/30 スライド更新] 主たる更新は以下の通りです。 ・P72 顧客体験シフトの源泉となる11のビジネスモデルを明示したこと ・P79-81 8/30に発表された「ガートナーハイプサイクル2019」に対応させたこと ・詳しく こちらの記事 をごらんください。 イノベーションを考える講義を学生や社会人向けに繰り返してわかったこと。 それは、結局のところ「最初のアイデア」の大切さです。 「リーンスタートアップ」では、「解決策」を深く考える前に「確実に存在する課題」の発見にフォーカスします。すると「満員電車をどうするか」みたいな、自分で解決することがむずかしいものがフィルターにかからず、最後まで良質な課題として残ってしまいます。 「デザイン思考」では、課題や解決策ありきではなく「人に共感する」ところからスタートします。すると「誰に寄り添うか」に依存し、「自分の強み」とフィットするか問題が後回しになります。 それ以外、世の中にあるアイデア創出法も探索しました。 およそ「アイデア」に関する良本はウチの本棚に並んでいます。それらはケースバイケースで発想にプラスにはなりますが、イノベーションを創発するためのものではありません。 そのような中で、試行錯誤を重ねてつくったのが、この「hintフレームワーク」です。 目標は「誰でも簡単に、事業創造のタネを発想できる仕組み」をつくることです。 このフレームワークの特徴は 「2019 DIsruptor50」 と準拠させたこと。 実際に成功した世界のスタートアップ事情に基づいているので、最新テクノロジー、最新トレンドにフィットした発想手法になりました。すでに学習院やチームdotなどで活用しており、明確な成果をあげています。 例えばこの写真とエクセル表は、知識ゼロからチャレンジした一般の社会人女性が、一週間で生み出した160個ほどの「イノベーションのタネ」です。送られてきたメールを見て、びっくりしたのはむしろ僕の方でしたw ご本人、三原真理子さんも ご自身のnote にて体験記を描き始めています。 このフレームワークを使うと、ブレーンストーミングと比較して「アイデアの質と量」がどのくらい違うのかを調査すべく、実証実験 も行うことにしました。ご興味ある法人は、お気軽にお声がけください。 なお、この資料は、社会人向け講座「hintゼミ」のテキストとして、downloadベージ でいつでも閲覧できます。また 会員ページ(無料) からはダウンロードすることもできます。今後も、順次最新テキストをアップしていきますので、ご興味ある方はぜひどうぞ。 関連記事 ・大学の経営学講義を社会人向けに超圧縮した「hintゼミ」10月からはじめます ・"2019 Disruptor50" 資料の総まとめ イノベーションを創発するにあたって、最新事例に触れることは重要です。 テクノロジーの進化が極めて激しいために、世界は一年で大きく変わってしまうからです。 特に、事業アイデアを発想する際には「急成長するユニコーン (時価総額10億ドルを超える大型ベンチャー) たちが、どんな課題や着眼点をもって事業を起こしたか」を学ぶことはとても大切です。 そこで、昨年に続き、放送局CNBCが2013年から毎年発表している「CNBC Disruptor50」の2019年版をベースに、最新のスタートアップ事情を調査してみました。 Meet the 2019 CNBC Disruptor 50 companies https://www.cnbc.com/2019/05/15/meet-the-2019-cnbc-disruptor-50-companies.html ディスラプターとは、読んで字のごとく「業界の破壊者」、すなわち、業界秩序や商習慣にとらわれずに、斬新なビジネスモデルやテクノロジーを市場に持ち込み、驚くべきスピードで顧客を獲得している企業です。 2019年に選出された50社の予想時価合計は2,600億ドル (うち36社は10億ドル超のユニコーン) であり、VCからの資金調達も460億ドルに達しています。なお、ディスラプターの選出方法はCNBCサイトに示されているので、以下に要約しておきます。
また、この「2019 CNBC Disruptor 50」の情報をベースとして、各ディスラプターの特性を独自に3つのタイプに分類してみました。
さらに、この3タイプに対して、「イノベーションのジレンマ」の提唱者として著名なクリステンセン博士が提唱した、2つのイノベーションタイプである「新市場型 (新価値創造型)」と「ローエンド型 (価格破壊型)」をかけあわせて、50社のディスラプターを6象限に分類してみました。 このような考え方で50社のディスラプターを分類し、各社の特徴をシンブルに「ユーザー」「解決したい課題」「新しい着眼点」としてまとめてみました。 この資料は、社会人向け講座「hint」のテキストとして、downloadベージ でいつでも閲覧できます。また 会員ページ(無料) ではダウンロードすることもできます。今後も、順次最新テキストをアップしていきますので、ご興味ある方はぜひどうぞ。 なお、2018年度のディスラプター50に関する記事はこちらです。ちなみに、2019年度、2018年度ともにベスト50にランクインしたスタートアップ企業は28社でした。 02. "2018 Disruptor50" 資料の総まとめ (2018) 01. 業界を破壊する新興企業トップ50 (2018) P.S. この記事「2019 Disruptor50」の内容と準拠した、新規事業アイデア発想手法「hintフレームワーク」の記事を投稿しましたので、ご興味ある方はご覧くださいませ。 ・2019 Discurptor50と連動した「hintフレームワーク」を公開します 起業や講義で得た知見をもとに集約した「SVCフレームワーク」を使った事業発想。今回は「自分の強み」に「価値のイノベーション」のをかけあわせました。 このフレームワークは今も改善をつづけていて、前回からすこし進化させました。 今、いろいろなワークショップで試行錯誤していて、夏ごろまでにはキチンとしたカタチでまとめられそうです。 なお、この講義スライドは こちら からダウンロードできます。 また、2019起業論1の講義ブログはこちらです。 6.「自分の強み ✕ コストの革新」から発想する 5. 受け入れる。安心できる場をつくる 4. 完璧主義を手放す。今に集中する 3. シンプルにする。本当の目標を知る 2. 感謝する。幸せにする 1. オリエンテーション |
著者ビジネス・ブレークスルー大学教授、現役起業家の斉藤徹です。人を幸せにしたいと願う起業家や社会人を育て、一緒に世界をもっと優しいところにする活動をしてます。 アーカイブ
8月 2021
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