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ダニエル・キムの「成功循環モデル」を疑ってみよう

12/16/2020

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■ ダニエル・キムの成功循環モデルとは

責任感の強い有能なリーダーほど、陥ってしまう落とし穴。
「売上を求めると、売上は逃げてしまう」の法則 は大きな反響をいただきました。

​商売も恋愛も同じこと。焦って結果を求めると、結果が逃げてしまうことになる。
それをわかりやすく可視化したのが ダニエル・キムが提唱した「成功循環モデル」です。
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いい結果をだしたいのであれば、信頼関係を築くことから始める。すると、多様なアイデアが生まれ、コラボレーションも進む。当然、パフォーマンスにつながり、さらに人間関係がよくなる。。幸せなサイクルですね。

一方、失敗の循環はどうなるか。
実はサイクルは同じですが「起点」が異なるのです。図式化すると、こうなります。
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数字(結果)をつくろうとして、リストラしたり、社員に無理をさせると、組織内に摩擦が生まれる。疑心暗鬼から保身に走り、社員同士も協力しない。結果がでないので、管理者の眉はさらに釣り上がる。沈みゆく企業にありがちな風景ですね。
​ビジネスは結果がすべてである。数字をつくれる人が出世する。
そんなビジネスの常識的な考え方が、実は成果を落としているのだ。

​成果至上主義に警鐘を鳴らす理論とも言えるでしょう。
​

■ ちょっと待て。「成功循環モデル」はほんとうなのか?

しかし、この「成功循環モデル」はほんとうに正しいのでしょうか?
リアリストの経営者であれば、こういうでしょう。

「関係の質なんか高めたら、組織が馴れ合いになって、真剣な議論もできなくなるよ。そもそも指示待ちや怠ける社員はどうするんだ。厳しさがないと彼らは動かないだろう」
​
さらに、やり手のボスはこうも言うでしょう。


「そんなまどろっこしいことしなくても、全部いっぺんにやればいい。朝礼で理念を暗記させる。目標を明確にして、達成した人に報酬を与える。それを発表するイベントで社員が交流すればいい。効率こそが成果をあげるんだ」

確かに、そう言われてみれば、そうかもしれない。
そして、ある意味、経営者の疑問や危惧は正しい。

「成功循環モデル」は、無条件できれいに回るものはないからです。
​
■ 「成功循環モデル」の背景にあるシステム思考

​この「成功循環モデル」は、個々の要素だけに着目するだけでは、複雑な問題は解決できない。要素のつながりを理解することこそが大切なのだという「システム思考」に基づいた理論です。

ダニエル・キムは論文の中で、典型的な例として「成功循環モデル」を提示していますが、本当に伝えたかったことは「成果をあげる知見や技術を学んでも成果はでない。大切なのはそのつながりを理解することだ」ということ。

モテる人から「とっておきの口説きのテクニック」を伝授してもらっても、それを初対面で使ったら、確実に引かれてしまう。ものには順番というものがある。なぜなら、人には心があるからです。

「関係をよくするメソッド」「思考を高めるメソッド」「行動をよくするメソッド」「結果を高めるメソッド」などをバラバラに実践しようとしても「成果を生むための全体像、個々のつながり」が理解できていないと、成果にマイナスに働きかねない。例えば、


・「関係の質」を高めようとして、イベントへの参加を強制する
・「思考の質」を高めようとして、朝礼によって価値観を刷り込もうとする
・「行動の質」を高めようとして、高額の報酬金と厳しいノルマを課す

これらの施策は、社員の自律性を奪い、結果として「思考の質」を落としてしまいます。

ダニエル・キムが提唱した「成功のための核心」とは、心理的なつながりを考慮しない個々の施策は、社員の自律性(内発的動機)を削ぐことになり、結果的に失敗につながるということでしょう。

エドワード・デシの「自己決定理論」によると、社員は3つの欲求、①自律性 ②有能感 ③関係性 を持っており、これらが満たされると、社員は前向きになり、持てる潜在能力を発揮するとしています。

・自律性  自分自身で選択して行動したい
・有能感  自分が有能であると感じたい
・関係性  人と理解しあい、支えあっていると感じたい


では、この2つの理論を結びつけるとどうなるか。試しに図式化してみましょう。
​
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■ ​2つの循環をつなげる技術

​大切なことは、協働の循環を示す「成功循環モデル」と、個々の社員の動機を示す「自己決定理論」をいかに緊密に結びつけるか。そして、そのためにはいくつかの知見や技術が必要になるということです。
​
ふたつの循環を噛み合わせるための技術を図式化したものが、以下のチャートです。
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「成功循環モデル」の順に、必要な技術や施策をまとめてみましょう。

​① 人間関係の質を高めるために最も大切なことは「心理的に安全な場」をつくること
② 社員が協働し、学習する組織をつくるには、その大切さを説く「価値観を共有」すること
③ 仕事から有能感や幸福感を感じるためには「フロー体験が生まれる場」をつくること
④ 自律的な思考を行動に移すには、現場社員に「権限移譲」と「情報共有」を徹底すること
⑤ 全体のつながりを理解し、個々の社員を支援する「サーバントリーダー」を育てること

これらを個々に磨いても、全体のつながりが理解されていないと、他部門が実施している施策と打ち消しあって徒労に終わったり、時には現場社員の混乱を招くことにもなりかねません。

成功循環の流れを理解しながら個々を磨いていくことで、循環の質が高まり、スピードが加速するのです。また、この全体像は、トップやリーダーだけが理解するのではなく、現場社員にまで共有することが大切です。

なぜなら、人間は意味を理解して、はじめて動く生き物だからです。

個々の施策については、この記事ではカバーできませんので、以下のベージの資料をご覧ください。疑問であげた「仲が良すぎる関係の問題点」や「やる気のない社員への動機づけ」なども、資料の中に含まれています。それぞれPDFをダウンロードも可能です。

7つの資料がダウンロードできる「無料体験講座ページ」

https://www.join-the-dots.net/free-seminar001.html

​【今日のまとめ】
1. 個々の要素を高める施策は、全体のつながりを理解してはじめて効果がでる。
2. 成功循環をまわすためのカギは、社員のやる気(内発的動機)を意識すること。
3. 自律性、有能感、関係性。3つの欲求を満たすことが、やる気に直結する。
4. 成功循環の質とスピートを高めるには、5つの施策がもれなく重要となる。



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    ビジネス・ブレークスルー大学教授、現役起業家の斉藤徹です。人を幸せにしたいと願う起業家や社会人を育て、一緒に世界をもっと優しいところにする活動をしてます。

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