トップマネジメント講座の最後。 なお、この講義には学習院大学の「FD研究所」(授業改善の研究をする組織) の方々が30名ほど参加されました。2018年度の学生アンケートの結果が特によかった講義として選ばれたためです。学生の反応から学び、講義を磨き続けた結果とありがたく受け止めています。 講義のテーマは、組織の進化を新しい視点で俯瞰した「ティール組織」、今回はその後半 (前回の講義はこちら) です。 リマインドしますが、ティール組織という概念は、マッキンゼー出身のフレデリック・ラルー氏によって2014年に執筆された『Reinventing Organizations』(日本では2018年に『ティール組織』として出版、一部で話題を呼んでいる) が提唱したもので、人類の発達にともなって進化した組織の変遷を5つのカラーで体系化 (ケン・ウィルバー氏提唱「インテグラル理論」がベース) しています。 ・レッド 〜 衝動型組織 (マフィア、ギャング、部族の民兵) ボスが野望を実現するためにつくった組織。暴力を使って、恐怖で支配する ・アンバー 〜 順応型組織 (軍隊、カソリック教会、行政機関、公立学校) 階級とルールが極めて厳格なピラミッド組織で、定形業務の繰り返しを得意とする ・オレンジ 〜 達成型組織 (多国籍企業をはじめとする大企業) 利益と拡大のために、徹底した実力主義で、アメとムチにより統制する ・グリーン 〜 多元型組織 (文化重視、理念重視の非上場企業) 家族的で、価値観や文化を大切にし、成果より人間関係を重視する ・ティール 〜 進化形組織 (マネジメントの常識を覆す次世代型組織) セルフマネジメントと全体性を特徴として併せ持ち、組織として進化し続ける 今回は進化型パラダイムに従った「ティール組織」について、その特徴を学びました。事例としては、オランダのヘルスケア非営利組織「ビュートゾルフ」をとりあげています。この講義でも 未来型の組織 について学びましたが、そのいずれとも異なる、一万人規模の卓越した特徴を持つ非営利組織です。 「進化し続ける目的」「セルフマネジメント」「個人の全体性」という3つの特徴を併せ持つ、世界で最もティールな組織です。従業員は1万人規模になっていますが、実態は自律的な6-12人チームの共同体組織で、司令塔はなく、シンプルなルール、協働ノウハウ、そして情報システムがその代替となっています。 さらに詳細は「ティール組織」(英知出版) をどうぞ。示唆に富んだ内容となっています。 さて、これで前期のトップマネ講義はこれで完結。科学的管理法から始まる100年の経営史、ソーシャルシフト、CSV、未来型組織、それを包括するカタチで「ティール組織」と見ていたけど、どうだったかな?これらを通じて「経営学って面白い!それに自分の組織に応用できるんだ!」って感じてもらえたらとてもうれしいです。 次回は後期のオリエンテーション。毎回、学生の組織に関する悩みをひとつ取り上げて、370名の大講義ながら、おもいっきりインタラクティブな演習を行ってゆきます。一昨年、去年、受講生からとても好評だったので、ぜひ積極的に参加してくれるとうれしいです。 なお、この講義スライドは こちら からダウンロードできます。 ブログ記事では「講義の生スライド」にしていますが、ダウンロード資料では、先頭の「コメントシート」や「質問」などはカットしてあり「講義内容」のみにしてあります。 2019企業経営とトップマネジメントの講義ブログはこちらです。 12. 未来の組織 〜 ティール組織1 11. 未来の組織 〜 ホラクラシーとDAO 10. 未来の組織 〜 モーニングスター、セムコ、ゴア 9. 学習する組織 (個人と組織の意思の育成) 8. 学習する組織 (システム思考とメンタルモデル) 7. SDGsとCSVを学ぶワークショップ 6. ソーシャルシフト 5. 数字を見るか、人に見るか (2000-2019) 4. 数字を見るか、人を見るか (1970-1990) 3. 数字を見るか、人を見るか (1930-1960) 2. 経営学の源流を知ろう 1. オリエンテーション
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ソーシャルキャピタル最後の講義は、幸せについてのお話です。 前回の講義では、人々が利己的に行動するために発生する「社会的ジレンマ」をとりあげました。環境問題や二極化問題など、地球の病根ともいえる社会的ジレンマの根っこにあるものは、私たち一人ひとりの利己的な行動にあり、最善の解決策として「ソーシャルキャピタル」があるということを学びました。 しかし、僕はさらに本質的に迫って考えたい。人はなぜ利己的に行動してしまうのか。それは「お金、地位、美しさを限りなく追求するところに幸せがある」という、人類の大いなる誤解が根底にあるからだと僕は考えています。 では、本質的に人を幸せにするものはなんなのか。それは目に見えないけれども大切なもの、すなわち自己受容、自己成長、親密な人間関係、そして自分より大きな何かへの貢献であることがポジティブ心理学で明らかにされています。 ならば人間はもっともっと利己的になればいい。 究極的に利己を追求すれば、利己と利他が同一線上にあることに気がつくはずだからです。 次世代を創る若者が「幸せの本質」を理解し、信念を持って行動しはじめれば、世界は劇的に変化していくでしょう。本質的な幸せへの理解こそ、世界をサステナブルに進化させるエネルギーとなるはずだ。僕はそう確信し、日々若者たちと接しています。(この話になると、つい熱くなってしまう汗) なお、今回もいっぱい素敵なコメントシートをいただきました。 僕にとっての幸せは、学生たちとのつながりから生まれています。 あんまりうれしかったので、僕へのメッセージのところだけいくつかピックアップして、まとめてみました。みんな、ほんとにありがとう。 なお、この講義スライドは こちら からダウンロードできます。 ブログ記事では「講義の生スライド」にしていますが、ダウンロード資料では、先頭の「コメントシート」や「質問」などはカットしてあり「講義内容」のみにしてあります。 また、2019ソーシャルキャピタルの講義ブログはこちらです。 12. 社会的ジレンマ、解決のために 11. メソッドを総まとめ:いい組織のつくり方 10. いい組織を持続するメソッド:価値観を共有し、自律を促す 9. グループ活性化のメソッド:チームの問題を解決する 8. グループ活性化のメソッド:心理的に安全な場をつくる 7. 対人関係のメソッド:対人関係の問題を解決する 6. 対人関係のメソッド:対話を通じて共感をうむ 5. ソーシャルキャピタル、光と陰 4. ソーシャルキャピタルの基本を学ぼう 3. ソーシャルキャピタルってなんだろう 2. 人のつながりを考えよう 1. オリエンテーション |
著者ビジネス・ブレークスルー大学教授、現役起業家の斉藤徹です。人を幸せにしたいと願う起業家や社会人を育て、一緒に世界をもっと優しいところにする活動をしてます。 アーカイブ
8月 2021
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