2018年7月12日 「企業経営とトップマネジメント」第13回 ティール組織とは? トップマネジメント講座の最後。 組織の進化を新しい視点で俯瞰した「ティール組織」、今回はその後半 (前回の講義はこちら) です。 リマインドしますが、ティール組織という概念は、マッキンゼー出身のフレデリック・ラルー氏によって2014年に執筆された『Reinventing Organizations』(日本では2018年に『ティール組織』として出版、一部で話題を呼んでいる) が提唱したもので、人類の発達にともなって進化した組織の変遷を5つのカラーで体系化 (ケン・ウィルバー氏提唱「インテグラル理論」がベース) しています。 ・レッド 〜 衝動型組織 (マフィア、ギャング、部族の民兵) ボスが野望を実現するためにつくった組織。暴力を使って、恐怖で支配する ・アンバー 〜 順応型組織 (軍隊、カソリック教会、行政機関、公立学校) 階級とルールが極めて厳格なピラミッド組織で、定形業務の繰り返しを得意とする ・オレンジ 〜 達成型組織 (多国籍企業をはじめとする大企業) 利益と拡大のために、徹底した実力主義で、アメとムチにより統制する ・グリーン 〜 多元型組織 (文化重視、理念重視の非上場企業) 家族的で、価値観や文化を大切にし、成果より人間関係を重視する ・ティール 〜 進化形組織 (マネジメントの常識を覆す次世代型組織) セルフマネジメントと全体性を特徴として併せ持ち、組織として進化し続ける 今回は進化型パラダイムに従った「ティール組織」について、その特徴を学びました。事例としては、オランダのヘルスケア非営利組織「ビュートゾルフ」をとりあげています。この講義でも 未来型の組織 について学びましたが、そのいずれとも異なる、一万人規模の卓越した特徴を持つ非営利組織です。 「進化し続ける目的」「セルフマネジメント」「個人の全体性」という3つの特徴を併せ持つ、世界で最もティールな組織です。従業員は1万人規模になっていますが、実態は自律的な6-12人チームの共同体組織で、司令塔はなく、シンプルなルール、協働ノウハウ、そして情報システムがその代替となっています。 さらに詳細は「ティール組織」(英知出版) をどうぞ。示唆に富んだ内容となっています。 ちなみに、学習院大学生を中心とした「イノベーションチームdot」(80名強) は、学生が自主運営する組織ですが、学びあい助けあうことで、プレゼンやグラレコなど社会人も驚くレベルに成長した、純度の高いティール組織と言えそうです。学生は無償参加ですが、企業からの収益で初年度から黒字化しています。この組織の仕組みについて別途レポートをあげようと思います。 さて、これで前期のトップマネ講義はこれで完結。科学的管理法から始まる100年の経営史、ソーシャルシフト、CSV、未来型組織、それを包括するカタチで「ティール組織」と見ていたけど、どうだったかな?これらを通じて「経営学って面白い!それに自分の組織に応用できるんだ!」って感じてもらえたらとてもうれしいです。 次回は後期のオリエンテーション。毎回、学生の組織に関する悩みをひとつ取り上げて、300名の大教室ながら、おもいっきりインタラクティブな演習を行ってゆきます。一昨年、去年、受講生からとても好評だったので、ぜひ積極的に参加してくれるとうれしいです。 では、また来週ね! 「企業経営とトップマネジメント」講義は こちら 12. 組織の進化を学ぼう 11. 未来型の組織を研究しよう 10. マネジメントの視点を広げてみよう 07-09. CSVワークショップ 06. ソーシャルシフト 〜 透明な時代の経営改革 05. 数字か、人か (2000年 〜) 04. 数字か、人か (1970年 〜) 03. 数字か、人か (1930年 〜) 02. 経営学の源流を学ぼう 01. 楽しみながら経営を学ぼう
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著者ビジネス・ブレークスルー大学教授、現役起業家の斉藤徹です。人を幸せにしたいと願う起業家や社会人を育て、一緒に世界をもっと優しいところにする活動をしてます。 アーカイブ
8月 2021
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