昨年のある日、大学三年生だったE塚くんの髪が目にとまりました。ん?どうした? 「あれ、E塚くん、髪型変えた?」 すると、E塚くんは恥ずかしそうに答えてくれました。 「あの、、これ、メンタイ(面接対策セミナー)のアドバイスなんです」 「え、どういうこと?」 「メンタイで金融機関が第一志望と伝えたら『知的な印象を持ってもらうために左分けにしなさい』と言われて。。。いつもと逆なので、すごく気持ちわるいんですが。。。」 なんか、不自然感がてんこ盛りだったので、僕はいいました。 「そんなの、企業人事は見てないよ。もっと大切なことがあると思うな」 「そうですよね。やっぱり元に戻します」 「笑顔が戻った😊 自然が一番だよね」 あとで調べてみたら、髪型は就活の常識みたいで二度びっくり。 就活生にふさわしい前髪 〜 男女別に好印象を与える前髪や整え方をご紹介 https://shukatsu-mirai.com/archives/32909 ことかように、今の就職活動は意味がわからないことだらけです。 ノックは3回、おじぎは30度、髪型は、スーツの色は、、、。いったい誰が決めたルールなのか、不安感をあおられた学生たちは、どんどん型にはめられて、厚化粧を強いられてゆきます。でも、いま企業人事が本当にもとめているのは「自分のアタマで考えて、能動的に仕事に取り組める人材」ですよね? 一方、企業採用サイドも同じく問題を抱えています。 採用サイトや動画があまりに美しく作り込まれており、学生は「その会社で、実際に自分が働くイメージを持てない」という不安を抱えたまま内定まで行ってしまう。ブランドイメージを大切にと大金を支払って厚化粧をする企業サイド。でも、学生はむしろ「悪いところも率直に言ってくれるような誠実な企業」に安心感や好感を持つのです。 学生も企業も「盛りすぎ」のままでお見合いしている。 これが今の就活の実態です。 入社三年で30%以上の新入社員が退職してしまう最大の原因はここにあると感じています。若者が我慢ができなくなったからじゃない。お互いが誤解したまま結婚しているからなのです。 新卒の離職率が3年連続で上昇中、原因は企業と求職者のミスマッチに有り? https://news.mynavi.jp/article/20170511-a153/ 2016年9月、「この歪んだ就活システムを改革したい!」と一人の学生が立ち上がりました。そして僕の講義「インキュベーション塾」でチームを組み、試行錯誤でサービスをつくりあげたのです。学生が素のままの自分を出せて、企業が提示した課題に楽しみながらチャレンジする。新しい就活のカタチ「Z-1チャレンジ!」です。 これは昨年の11月10日と11月24日に行われた、第二回「Z-1チャレンジ!」の様子です。学生が約30名。そして、一休さん、オイシックス・ラ・大地さん、オルビス化粧品さん三社の人事、マーケティング関係の方々にご参加いただきました。またキャリアデザイン・エージェントのミライフ佐藤社長にも多々ご協力をいただきました。 この場に集まってくるのは、チームdotやそのまわりにいる意識の高い学生たちです。彼ら彼女らは、わずか二週間で、企業サイドも驚くような質の高いプレゼンテーションを発表してくれました。なにより、問題解決プロセスを経て、企業人事のみなさんと学生たちの心理的な距離がぐっと縮まったこと。普段目にすることのできない「素顔のZ世代」を体感できたという声を多くいただき、目に見えない(KPIではあらわせない)大きな成果だと感じました。 動画の学生たちはなんでこんなにイキイキしているのか。それは全編にわたり、心理的安全性を高くする工夫を随所に取り入れているからです。 ・スーツは禁止、普段着で参加する ・お菓子を各テーブルに準備し、食べ放題にする ・結果よりプロセスや学び(最新のイノベーションノウハウ)を大切にする ・チーム発表に対してフィードバックはきちんとするが順位づけしない ・ロサダライン(フィードバックはポジティブをネガティブの三倍以上)を守る ・チーム間でコラボする機会を設ける ・社会人と学生がコラボする場を設ける ・休憩にスライドショーで社会人や学生のプライベート画像を流す などなど。目指したのは「学生も社会人も素のままの自分で対話できる場所。一般の就活とは真逆の視点で作られたイベントなのです。学生たちは楽しみながら、学び、交流し、発表する。いつのまにか課題をシェアした企業のファンになってゆく。そんな好循環が生まれ、結果的にインターンや内定などの成果につながります。 初日の問題解決ファシリテーションは僕が務めました。こちらのスライドを見ていただければ、安心できる場作りへの熱意を感じていただけると思います。ちなみに学生たちは僕のことを「とんとん」と呼んでます😭 なお、動画の最初で大写しになったレポーターが、この「Z-1チャレンジ!」を実現するために起業までしてしまった「イノベーションチームdot」の代表、冨田侑希です。 彼女とチームdotは、僕が教えている「リーンスタートアップ」を地でいくカタチで、二年間かけて、何度挫折してもくじけずに失敗から学び、トライ&エラーを繰り返してサービスを創り上げました。 第一回目にご参加いただいた企業では、すでに内定やインターンが決まった学生も出ていますが、チームdotは現状に満足しておらず、このサービスはまだまだ成長過程だと感じています。 なお、この「Z-1チヤレンジ!」の取り組みは、朝日新聞にも掲載されました。 入りたい企業、自然体で探す 就活で悩んだ若者、イベント企画 (会員記事) https://www.asahi.com/articles/DA3S13795484.html イノベーションチームdotでは、このような取り組みを、大学生だけでなく、大学に進学しない高校生や、学びの機会に恵まれなかった方々に無償で広めていきたいと考えています。 私たちの目的は新たな就活ビジネスを創り出すことではありません。新しい就活を通じて人々に幸せを感じてもらうこと、無償で質の高い学びを世に広めて社会をもっと優しくすることにあります。このような志にご興味ある企業があれば、ぜひこの取組みにご参加ください。第三回目の開催も計画しております。お問い合わせ、お待ちしております。参加してみたい学生からの問い合わせも大歓迎。僕あて、気軽に連絡ちょうだいね。 イノベーションチームdot 関連記事は こちら 04. パナソニック×dot、Z世代が求めるのは? 03. 集英社×dot Z世代はマンガって読むの? 02. 社会人向けイノベーションdotのご紹介 01. イノベーションチームdotへようこそ
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著者ビジネス・ブレークスルー大学教授、現役起業家の斉藤徹です。人を幸せにしたいと願う起業家や社会人を育て、一緒に世界をもっと優しいところにする活動をしてます。 アーカイブ
8月 2021
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