2019年度、すぐに役立つ楽しい経営学「企業経営とトップマネジメント」がはじまります。 この講義の特徴は、 ① 経営のハードスキル(前期)、経営のソフトスキル(後期) をバランスよく学べる ② 前期は、経営学の歴史から今の経営、さらに未来型組織まで、時系列で学べる ③ 後期は、学生の悩みを取り上げることで、自分事として経営学を学べる ところにあります。 多くの教育機関では、これまで「経営のハードスキル」を中心に教えてきました。経営を組織論、戦略論、マーケティング、会計と分類し、それにに関して「体系化された知識」を教えていくという手法です。 もちろん知識は大切ですが、それだけでは経営はできません。 いくら机上で長い間サッカーを学んでも、サッカー選手にはなれないのと同じこと。サッカーは実際にグラウンドに出て、気の遠くなるような反復練習と、ゲームという試練を数多くくぐり抜けて、はじめて成長していくもの。経営も同じですね。 そのため、例えば世界最高レベルの教育機関のひとつ、ハーバードビジネススクールでは、すでにソフトスキルに対する教育比率が半分を超えています。 この「経営のソフトスキル」重視に同校がシフトしたのは、2001年に粉飾決算で倒産(当時、米国で最大規模)したエンロンのCEO、スキリングを生み出したことへの反省があったと言われています。 当時、MBAで学ぶ学生の就職先として最も人気があった企業がエンロンであり、そのため同社はMBA出身者が中心となって経営されていた組織でした。MBAで学んだことを実践した結果、米国で最大の倒産劇、それも悪質極まる粉飾決算を引き起こしてしまった。そのことに対する批判が教育機関に集中したのです。 今の時代をとらえても、この流れはリーズナブルです。 人工知能が本格的に産業に進出しはじめたからです。 AI時代において、知識の多くはコンピュータがカバーします。コミュニケーションやリーダーシップなど「体系化が難しいヒューマンスキル」を実践さながらに学ぶことが重要になる。そのためには体系化が難しい「経営のソフトスキル」をいかに高めていくか、アカデミー界における大きなテーマではないかと考えています。 このような背景から、この講義では、前期は「経営のハードスキル」、後期では「経営のソフトスキル」の習得に力点をおき、カリキュラムを設計しています。 前期に学ぶ「経営のハードスキル」は、3つのブロックにわけた講義内容になります。 2〜5までが経営学の歴史。これまでに登場した主要な経営学の理論を、時代の流れにそったカタチでその文脈とともに解説していく講義です。つまらなくなりがちな座学中心のお話なので、人気ドラマ「半沢直樹」をモチーフに、経営者の悩みをリアルに体験しながら学ぶ内容になっています。 6〜9は今の経営課題。僕の持論である「ソーシャルシフト」、それにSDGとCSVについて。さらに組織論に大きなインパクトを与え、これからの組織における中核コンセプトになるであろう「学習する組織」の考え方を、ワークショップを多用しながら進めていきます。 10〜13は未来の組織。一言で言えば、ヒエラルキーのない、上司のいない組織のこと。孫氏の兵法以来、何千年の歴史の中で変化のなかった「人の組織」が、テクノロジーの影響で革命的な変化を遂げつつある。その流れをしっかり体感する講義です。この内容については、ソーシャルシフトラボ・テキスト「未来の組織について考えてみよう」としてまとめてありますので、興味のある方はご参照ください。 後期に学ぶ「経営のソフトスキル」は、毎回、学生が持つ「組織の悩み」をひとつずつとりあげて、それを300名を超える学生たちが考え、発表するという他に類をみない形式で進めていく講義です。 まず、①学生の悩みが最初に共有される。② 学生たちがLINEグループを通じて考えた内容をどんどん投稿する。それをみた当事者が ③「実行するアイデア」をいくつか選択し、④ 組織にもどってチャレンジし、講義で結果をフィードバックするという流れになります。 この写真は学習院大学のサッカー部。彼らの悩みを、300名、90を超えるチームが一斉に考えて、LINEグループで投票します。はじめて見た方はかなり驚かれる光景だと思います。 後期を通じた集大成は、社会人になってからも振り返られるように「みんなでつくるリーダーシップ」としてシェアします。 2018年度の集大成はこちらの記事で公開していますので、ご興味ある方はご覧ください。 最後に、この講義でも「企業経営とソーシャルキャピタル」と同様、受講者数350名ほどの大規模な講義ですが、① ペアトークなどアクティブラーニングを取り入れ、②LINEを使った双方向の授業 にしています。 このあたりの具体的な内容は「企業経営とソーシャルキャピタル」のオリエンテーション記事 で書いているのでご参照ください。 あ、そうそう。コメントシートも変えました。 今年はオリジナル。グラレコもかけるよう工夫しました。 dotグラレコ部リーダーの作品です😊 (とんとんもdotの子たちから命名されました😂) で、講義のオリエンがおわったあとは、ちょい本番の講義をスタートしました。 セーターの手編みが趣味のターニャがゼロから会社をつくってゆく「ターニャの経営物語」です。 ここで取り上げている「会社とはなにか」「株式とはなにか」、実は社会人でもなかなか答えられないんですよね。経営学、基礎中の基礎だけど、定義だけ覚えても明日には必ず忘れてる。なので、自分ごと化できるようにストーリーにしています。 ちなみにスライド内、穴埋めにななっているところ、正解例は以下の通りです。 「所有」「経営」「株式」「株主は株式を失う」 「配当」「証券取引所」 「直接金融」「間接金融」 さて、オリエンテーションはこれでおしまい。 来週は「ターニャの経営物語」を続けていきます。 なお、講義資料は "DOWNLOAD" ベージ からダウンロードできます。 では、また来週、お会いしましょう!
0 コメント
あなたのコメントは承認後に投稿されます。
返信を残す |
著者ビジネス・ブレークスルー大学教授、現役起業家の斉藤徹です。人を幸せにしたいと願う起業家や社会人を育て、一緒に世界をもっと優しいところにする活動をしてます。 アーカイブ
8月 2021
カテゴリ
すべて
|